オンラインインタビュー Part.2【「柔道整復師」になってから感じたよかったところ・悪かったところ】元原誠吾×吉澤遼馬×安良田卓也

前回から引き続き、元原誠吾先生、吉澤遼馬先生、安良田卓也先生へインタビューを行います。

今回は「柔道整復師になってから感じたよかったところ・悪かったところ」をテーマに語っていただきます。

※前回分(part.1)のインタビューはコチラから

次は「柔道整復師」になってから感じたよかったエピソードや悪かったエピソードがあれば伺いたいと思います。
順番は前回と同じ元原先生からでよいでしょうか?

元原先生

変えていきましょう!

では順番を変えて安良田先生にお伺いします。
柔道整復師になってから感じたよかったエピソード、悪かったエピソードなどありますでしょうか?

安良田先生

はい。よかった点からですが、自分自身の知識や技術が、患者さまへ直結することが1番よかったと思ってます。

頑張れば頑張るほど、患者さまのためになったり、患者さまから感謝されたりするところかなと。

逆に怠け癖のある方は、業界内で置いてけぼりになると思ってます。

自分自身の質を高めるというか、とてもやりがいがある業種だなって、この業界に入って感じました。

患者さまのために、自分自身のスキルを上げなければならないイメージでしょうか?

安良田先生

そうですね。

僕たちはその患者さまのために、知識や技術を学んでいますので、それらが直結すると思ってます。

悪かった点としては、柔整師には治せない疾患に出会うことがあるところです。

手術が必要な患者さまや、お薬を飲んだ方が改善を見込める患者さまに出会うことがあります。

そういった我々の手に負えない患者さま方に「医師免許があれば…」と思う事はあります。

ただ、僕たち柔道整復師だからこそ出来ることもあると思ってますので、そういったのは全力で行ってます。

法律に触れてしまうためとはいえ、なかなか悔しいですね。

安良田先生

そうですね。

元原先生ともこういった話をよくするのですが、多くの患者さまを診ていく中で、我々には手に負えないことがたくさんあるので、そういったときは悔しい想いをします。


では、吉澤先生にお伺いします。
柔道整復師になって感じたよかったエピソード、悪かったエピソードなどがあれば伺わせていただければと思います。

吉澤先生

よかったこととしては、自分で自分を治すことが出来るところでしょうか。

僕ら柔道整復師は、怪我の勉強を主にするのですが、実は医師と同じ科目も勉強するんです。

「医師科目」というのがありまして、整形外科は内科や病理学とか、いろいろ学んでいかないといけないので幅広い知識があります。

もちろん今になって勉強したこともたくさんあります。

実は先日、怪我をしてしまい、足の「三角骨」という骨を折ってしまったのですが、自分の知識を活かして、本当は治るのに6週間ぐらい掛かるところを、3~4週間ぐらいで治しました(笑)

  • 折れていることを確認
  • 自分で自分の足に電気当てて治療する
  • 自分で固定具も作る

の流れで(笑)

ご自身の身体をご自分で治されたのですか?

吉澤先生

はい、自分で治療しました(笑)

むしろ楽しんでやってました。「どういう風にくっ付いていくのかな」とか(笑)

なので、自分で自分を治すことが出来る点はよかったと思います。

あとは友人が怪我したときに連絡してもらえたり、もちろん家族へも治療ができたり、そういった周りのヒトの役に立てるところは、よかったと思ってます。

怪我以外となると、内科の勉強をしているので、知見があるということでしょうか。

以前妻に「背中が痛い」と言われたときがあったのですが、だいたいの方はマッサージなどに行かれると思います。

僕ら柔整師の場合、まず最初に肌を診ます。例えば、肌に帯状発疹がないかなどを確認するんですが、案の定、妻の背中には帯状疱疹があったんです。

「疱疹があるから皮膚科に行きない」と妻へ伝えたのですが信じてもらえず、「あなた骨折とか診てるんだったらどうにかしてよ」と逆に言われまして。それでも「皮膚科に行きなさい」と言い聞かせました。

思った通り、皮膚科で「帯状疱疹」と診断されたことが過去にあったので、そういった怪我以外の知見もあるところも、勉強しておいてよかったかなと思います。

悪かったところというか、改善が必要だなと思っていることを挙げるとすると、職人仕事なのにグレーなところがあることでしょうか。

他の業種から見ればすごく大変な仕事でやりがいもあるのに、あまり対価として貰えないとか、社会的評価が低く見られてしまっているところが、これからもっと良くなっていけばと思ってます。

意外にもそういった事実が背景にあるんですね。

吉澤先生

生活するの厳しそうな方々いっぱいいると思います。

多分ですがご家族がいたら少しキツいだろうなというか。


では元原先生お願いします。
柔道整復師になって感じた良かったエピソード、悪かったエピソードがあれば伺わせていただければと思います。

元原先生

よかったところでいうと、自分でビジネスをやるまでの距離が近いところかなと思います。

全体のイメージがしやすいんです。○○や××までステップを踏んでいけば、自分でビジネスができるなっていうような感じです。

もう1つ挙げるとすれば、吉澤先生がおっしゃってたように、家族に痛みや悩みがあったときに、自分が慌てなくて済むところかなと感じています。

僕7歳の娘がいるんですが、習い事で水泳をやっていて、ときどき足がいたいとか、肩が痛いとか言われます。

そうしたときに、その悩みを解決してあげられることが、柔整師になって良かったなと思ってます。

悪かったことというか、少し表現が難しいのですが、「柔整師だけじゃ物足りない」という表現にさせていただくと、安良田先生もおっしゃってたように、柔整師の資格だけでは出来ないことが多々あるところでしょうか。

例えば「ハリが打てたらこの痛みはとれるのかな…」とか、「ここを関節鏡で覗いてみたいな…」とか思った時、それらが柔道整復師の免許では許されていない行為のため、歯痒いというか悔しい想いはあります。

ただ、基本的には「悪かった点」というのは、1つも無いと自分では思ってます。

吉澤先生からのお話でも挙がったのですが、身体のスペシャリストが身近にいると、ご家族も安心感があると思います。

元原先生

そうですね。


個人的に気になることがあるのですが、スポーツ選手への帯同とかはあるのでしょうか?

安良田先生

僕は特にないですが、吉澤先生はどうですか?

吉澤先生

僕はいっぱいあります。

主にどういった経緯で選手たちと繋がるのでしょうか?

吉澤先生

主に2つあると思ってまして、1つはチーム専属になるいうか、チームに就く

もう1つは、個人競技とかの1選手に就くで別れると思います。

あと挙げるとしたら、繋がりでの採用か、もしくは、ものすごい有名な柔整師のため、チームからオファーをいただくかだと思います。

僕の場合、格闘技選手を診ることが多く、個人競技ということもあるので、選手から「大会一緒に来てくれないですか?」とか「セコンドについてください」とかでお誘いいただいてます。

吉澤先生が格闘技選手のセコンドにつくんですか?

吉澤先生

はい。でもセコンドについても何も出来ないですよ(笑)

3年ぐらいずっと診てるとある選手がいまして、先日BreakingDownって格闘技大会があったんですが、「その大会に出るのでセコンドについてほしいです」と言っていただいて。

でも、実際に選手への指示なんてほとんど出来ないです(笑)

「いけー!」「やれー!」ぐらいしか言えないので(笑)

多分僕がセコンドにつくメリットって、試合前後のボディケアのためかと。

どのタイミングで選手へケアするのですか?

吉澤先生

BreakingDownの場合、1ラウンドしかないので、その前後でケアする感じです。

RIZINの場合は、インターバルが1分しかないので、選手の汗を吹いたりするぐらいしか出来ないです。

1分ではケアもろくに出来ないので。

1選手に3人までセコンドにつけるんですが、僕はその中の1人でしかないです。

元原先生

吉澤先生すごいんですよ!

格闘技の選手、何人診てらっしゃるだってくらい診てますから(笑)

吉澤先生

先日数えたら、30名とか40名ぐらいの選手を診てます(笑)

すごい数の選手を診てらっしゃいますね(笑)
大晦日のテレビでよくRIZIN観ていたのですが、もしかしたら吉澤先生テレビに映ってたかもしれなかったですね(笑)

吉澤先生

いやいやいや…(笑)

BreakingDownはバッチリ映ってると思いますが、RIZINは映ってないかもです(笑)

元原先生

スポーツトレーナーとか、選手帯同に関する僕の考え方ですが、僕はどちらかというと治療家というより、ビジネス目線で考えることが強いんです。

地域のスポーツチームとか、スポーツ活動に対してのみ、ご参加させていただいてもらってまして、無料で参加する代わりにプロモーションをやらせてもらうようなイメージです。

その選手たちが、何かあったときは自分の院に来ていただいて、それが利益になるような考えがベースとしてありますので、仮にプロチームからオファーをいただいたとても、お断りをしているんです。

地域に根差して活動した方が、月xx万円という取り分よりも、結果的な取り分が大きくなると思ってます。

唯一プロチームからのオファーを受けるとしたら、「プロチームに帯同しました」ということをプロモーションに使ってよいとなったときのみです。

あまり治療家らしくない考え方かもしれませんが…(笑)

いえ、その辺りとても大事なところですから(笑)

元原先生

そういう考えでやってます(笑)

院のスタッフ求人や採用など、実際に困っていたりするのですか?

吉澤先生

あくまで僕視点ですが、スタッフの採用は困っている院と、困っていない院の差はすごくあると思います。

その辺り、元原先生、安良田先生どうでしょう?

安良田先生

僕もそうだと思ってます。

吉澤先生

安良田先生もおっしゃってた通り、技術やスキルを勉強すればするほど、ド●クエみたいにレベルアップしていくと思います。

正直、業界的に全然勉強してない先生が多いんじゃないかと僕は思ってます。

一生懸命やればちゃんと繁盛しますし、求人や採用とかに困ることはないのかなと。

なるほど、とても興味深いお話ですね。
元原先生、吉澤先生、安良田先生ありがとうございます。

お三方へのインタビューは続きます。

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プロフィール

柔道整復師
元原 誠吾 先生

整形外科 副院長経験ありの柔道整復師
年間1000例の手術に帯同、500例の外傷処置経験
あり
1回/週 ストーリーズ 病態鑑別クイズ
セラピスト診断学研究所 第一期運営メンバー
セラ研の入会はこちらから


柔道整復師
吉澤 遼馬 先生

株式会社Bonds 代表取締役
格闘家(RIZIN.K-1.RISEなど)の施術に専心
業界最大級のオンラインサロン「Free Therapist Labo」代表


柔道整復師
安良田 卓也 先生

整形外科 勤務
医師と共に6万3千人の診察とレントゲン読影
セラピストのための病態判断学『柔道整復師、鍼灸師が本物の医療を提供できる未来へ』発信
オンラインサロンHCR代表

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