スポーツ現場での「スポーツトレーナー」と必要なスキルとは?

※写真のモデルはイメージになります。

国家試験を合格し、国家資格「柔道整復師」を取得した後、その資格を生かし活躍する場面というのは様々あります。

その中に、スポーツ選手を支える「スポーツトレーナー」というお仕事があります。

現在、学校に在学中の方や資格を取得し働いている方の中には、スポーツトレーナーを目指している方もいらっしゃるかと思います。

そのような方たちに少しでも参考になればと、私自身がトレーナーとして活動した経験から必要なスキルやスポーツトレーナーについてお話していたいと思います。

私事ですが、スポーツトレーナーとしての経歴としては、整骨院で勤めながら全国レベルのバスケットボールチームや、学校のバスケットボールチームへのトレーナー活動や、バスケットボール全国大会への帯同で帯同チームが優勝するなど経験があります。

他にはプロ選手への治療経験もあります。

スポーツトレーナーはどんな仕事?

スポーツトレーナーとは名前の通りですが、スポーツ選手・競技者が練習や試合時に心身ともにベストな状態でサポートするお仕事です。

スポーツトレーナーは厳密には必ず必要な資格はありませんが、ケガに対して正確な処置や整復・固定など、医療の国家資格がないと行えない行為もあるため、スポーツ現場で活躍する方はドクターや柔道整復師、鍼灸師など国家資格保有者がほとんどです。

選手の今持っている実力を最大限に引き出せるようにサポートすることはもちろん、さらにトレーニングなどで身体づくり・能力の引き上げや、「ケガ」をした時の処置やリハビリなども担うなど、スポーツトレーナーの中でも内容は多岐にわたります。

サッカーやバスケットボール、バレーボールなどのチームのスポーツトレーナーになることや、格闘家やテニスなど一人の選手に専属トレーナーとして付くこともあります。

対象者となる選手も一般の方からプロ選手まで幅広く、スポーツ現場だけではなくフィットネスクラブやトレーニングジムなど施設に所属しスポーツトレーナーとして活躍されている方もいます。

今回はスポーツ現場でのお話を中心にしていきます。

スポーツトレーナーの種類について

スポーツトレーナーとはスポーツ選手をサポートするお仕事の総称のようなもので、その中でも種類がいくつかに分かれています。

アスレチックトレーナー

スポーツ現場で選手に起きたケガや、体の故障に対して整復・固定の処置、復帰からのサポート、ケガを予防するための施術を行います。

包帯やテーピング固定や止血、アイシングなどの専門的な行為はもちろん、必要な場合は救急車要請なども行います。

現場では様々なケガのリスクがあるため、迅速な判断も行う必要があります。

メディカルトレーナー

ケガをした選手の早期の競技復帰、体の運動機能を回復させるサポートを行うトレーナーです。

アスレチックトレーナーはスポーツ現場で活躍しますが、メディカルトレーナーは主に医療機関に所属し活躍します。

医師やリハビリの理学療法士との連携で復帰までのリハビリメニューの作成やリハビリ実施指導も行います。ケガによる筋力低下に対する筋力トレーニングも行います。

コンディショニングトレーナー

練習や試合、大会の前後の身体のコンディション、体調管理などベストな状態に整えるトレーナーです。

競技直前にはコンディショニングにより最も良い状態で臨めるように調整、試競技後にはクールダウンを含めた体のメンテナンスなども行います。

さらに選手の能力向上のためにトレーニングメニュー作成から指導までを行ったり、食事やメンタル面でのケアなども含めパーフォーマンスを最大限に引き出すトレーナーとなります。

ストレングトレーナー

競技やポジション、選手に合わせた身体能力、筋力などパフォーマンスを向上のためのトレーニングメニューを作るトレーナーとなります。

主に対象者はスポーツ選手で、対象者が行っている競技への専門的知識が必要になってきます。

フィットネストレーナー

名前の通り、フィットネスジムやトレーニングジムなどで利用者に対して指導や計画を立てるトレーナーです。

ダイエットや筋力アップ、体力作りなど対象者の目的、性別、年齢などに合わせたプログラムを組み指導を行います。

近年ではフリーランスとして、芸能人など専属で付き活躍されているトレーナーも増えています。

実際、スポーツ現場ではアスレチックトレーナーやコンディショニングトレーナーが活躍する場となります。

種類はあるものの現場では混合することがほとんどでアスレチックトレーナーとコンディショニングトレーナーの役割を複合的に行うなど臨機応変に活動する必要があります。

スポーツ現場で必要なスキルとは?

ここからは実際に私がスポーツ現場でスポーツトレーナーとして活動中の話も踏まえて、必要だと感じたスキルについてお話していきたいと思います。

私は整骨院に院長として勤務しながら、主にバスケットボールのチームや学校のクラブにスポーツトレーナーとして活動をしておりました。

月3~4回ほど学校へ、そして全国大会への帯同をしておりました。

スポーツトレーナーとしての内容は練習や試合前の選手の身体のコンディショニング、競技後のケア、現場で起きたケガへの処置、復帰までの施術などを担っておりました。

必要であれば整骨院に来ていただき、細かい施術を行い早期復帰のサポートをするなど、アスレチック・コンディショニング・メディカルトレーナーを複合的に行っていたような状態になります。

スポーツ現場で必要となったスキルは

  • ケガへの迅速な対応と正確な判断力
  • ケガに対しての処置のスピード
  • 一人一人の身体の状態を管理しておく
  • ケガ後の復帰までの正確なリハビリや施術

などです。

ケガへの迅速な対応と正確な判断力

スポーツ現場では対人スポーツは、特に疲労によるケガだけでなく、接触などによるアクシデントによるケガも発生します。

私が経験したのは手の指関節の脱臼骨折・捻挫による重度の身体損傷・脳震盪・接触による出血、前十字靭帯断裂などその他にもさまざまなケガに遭遇しました。

ここで重要になるのがケガした直後から正確なケガの状態の把握と迅速な対応です。

まずは今その現場で私たち柔道整復師が処置できる内容なのか救急車を呼ぶ必要があるのか。ここが一番重要になります。

脳震盪や脳出血のリスクがあるもの、骨折や脱臼など精密検査が必要な症状は、迅速に救急車を呼ぶという判断が必要になります。

すべてのケガに対して現場にいるトレーナーが対応することはできません、スポーツは時には死にかかわるケガもあるため、正確な判断が必要になります。

ケガに対しての処置のスピード

ケガの状態を把握した後は処置のスピードも必要になってきます。

例えば、私が遭遇したケガでは練習中にボールによる突き指で脱臼骨折が発生しました。まず本人の気持ちを落ち着かせながら、果たしてここで整復が可能なのかを確認、整復が可能だったため、整復後すぐに病院で精密検査に行くように指示をしました。

整復が正確に行われいるのか、血管、神経に異常がないかなどは精密検査が必要です。

整復が完了するまでは実際には3分もかからず行いましたが、時間がかかればかかるほど状況が悪化することもあります。

その為、ケガの大きい小さいに関わらず迅速な処置が求められます。

バスケットボールでは選手の交代に制限がない為、試合中にケガで交代した直後からこの試合にまた復帰できるかを判断し、テーピング固定などを行うのですが、1分以内での施術を求められることもあります。

一人一人の身体の状態を管理しておく

スポーツ現場でのトレーナーは基本的に一人一人の身体の状態を把握しておくことが必要になります

その人のポジションや筋肉の付き方、体調はもちろん性格なども把握しておくことで、試合に向けて心身共にベストな状態でプレーしてもらえるようにサポートが可能となります。

時にはメンタル面のサポートも必要になるためコミュニケーション能力も必要になります。

ケガ後の復帰までの正確なリハビリ、施術

スポーツは試合に合わせて練習内容の変更や出場選手も変わってきます。

ケガをしてしまった選手は気持ち的にも焦りがでたり、監督もケガの選手がどれぐらいで復帰できるかでまた試合に向けての出場選手の編成を行わなければなりません。

スポーツトレーナーはケガの状態から復帰までのリハビリプランを作成し、選手本人そして監督との連携が重要になってきます。

ケガは選手生命にも関わることもあるためリハビリ内容や施術内容、復帰までのプランにも正確性が必要になります。

まとめ

お話させて頂いた必要になるスキルは、スポーツ現場でのスポーツトレーナーとして必ず必要になる内容だと感じております。

トレーナーの内容によっては更に+α知識や技術が必要になることもあるでしょう。

スポーツトレーナーを目指している方はテーピング固定や包帯固定など、普段から練習することや瞬時に触りたい組織を触れるように自分の身体で触診の練習をしたり 座学での知識だけでなく、YouTubeなどSNSで実際のスポーツ現場でのケガの瞬間の動画を見るなど、「触る・見る」を意識して自宅で練習をしてみてはいかがでしょうか。


執筆者情報

柔道整復師
S・F 先生(店舗完全紹介制のため本名非公開)

【経歴】
柔道整復師専門学校3年で卒業、その年に資格取得。学生時代は2年間、整形外科のリハビリ科でアルバイト、卒業後は整骨院で就職、約7年間勤務後、整体院・エステ関連の店舗を開業する。

【自己紹介】
学生の時から含めるとこの業界で役10年、開業がゴールでは無かったですが、自分の求める治療やサービスを提供したいという思いから最終的に開業という形に至りました。スポーツトレーナーなどもしており、プロの選手と関わることもあり、一般の方からスポーツ選手まで幅広く施術を行っています。

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