整骨院・接骨院の開業にむけたお金のお話し

今回は、接骨院(整骨院)の開業をお考えの先生方に届けたい、「お金」に関する内容を記事にまとめてみます。

実際問題、

  • なににいくらかかるの?
  • 月のランニングコストはどのくらいかかるの?

など具体的な話も盛り込んでみますので、きっとためになる内容になっていると思います。

整骨院、接骨院の開業に必要なお金ともの

まず、接骨院(以下接骨院にまとめる)の開業に必要なものは、どんなものがあって、それらはいったいいくらお金が必要でしょうか?

以下にざっとまとめてみます。

テナント契約費

テナントを契約する際には、

  1. 敷金(家賃の約半年分)
  2. 礼金(家賃の1か月分)
  3. 1ヵ月分の前家賃

が必要です。

例えば、10万円/月のテナントを契約するとして、

敷金(家賃10万円×6か月=60万円)  礼金(家賃10万円×1ヵ月=10万円)  1か月分の前家賃(10万円)

 80万円

以上がテナントを契約するだけで必要となります。

内装工事費

内装は、院の広さやこだわりによって目安が大きく変わりますが、クロスの張り替え、照明、床、エアコン設置、トイレ設置など考えると、最低でも50万円ほど予算を見ておく必要があります。

外装工事費

看板設置や窓ガラスのカッティングシートなどを合わせると、約20万円ほどかかることを頭に入れておきたいです。

人件費 

一人で開業する場合を除くと上記の毎月の経費(ランニングコスト)に加えて、最も大きくのしかかるのが人件費です。

大まかな目安としてはパートで受付さんを雇用したり、柔整師を一人雇用するとなると、毎月5万円~25万円の経費がかかります。

月で見たら5万円でも、年間で計算すると60万円です。

人を雇おうとするときには「この人を雇用して、きちんと給与が払えるだろうか」と計算することがとても重要になります。

資金力が心許ない場合、最初から人を雇わず、一人では回せないほど患者が増えてきてから人を雇う方がいいでしょう。

備品購入費

施術ベッドや受付カウンター、待合のイスやトイレットペーパーなど、開業前に備品購入リストを作成して必要物を購入した場合でも、ほぼ100%それで充分に足りることはありません。

あとから、あれもいるこれもいると小さなものを追加で購入することを考えて、備品購入リストの合計額に20%程度プラスで予算を組んでおくことをおすすめします。

機器購入費

特に高額な買い物になるのはこの機器購入でしょう。

超音波治療器、干渉波、超短波などを一括で揃えようとなると、数百万円が当たり前に飛んでいきます。

リース契約なども考慮して、可能な限り現金が手元に残る方法を考えましょう。

毎月のランニングコスト 

開業するだけでなく、整骨院・接骨院を維持するためには毎月のランニングコストが発生します。

代表的なものを下に挙げます。

  • 通信費 …Wi-Fi代など5000円前後/月
  • 水道光熱費 …洗濯で使う水やガス利用の料金です。毎月3000円~4000円程度。
  • 電気料金 …夏は冷房、冬は暖房、少し大きなエアコンが付いている場合、別途動力契約が必要な場合があったりと、院の電気代は思ったよりかかります。30,000円~50,000円ほどみておきましょう。
  • 宣伝広告費 …院を認知してもらうために必要な予算です。売り上げの5%程度が理想です。
  • 福利、消耗品費 …毎月発生するこまごました経費です。ティッシュペーパーやウォーターサーバーなどがこれにあたります。
  • 消耗品費 …イメージしやすいのはテーピングや包帯などの衛生材料です。売上にかかる原価率は、接骨院業界では約3%前後とされています。 仮に、毎月100万円の売り上げが立つとして、その100万円に対する原価は3万円前後となるイメージです。
  • その他 …その他、ボールペンや切手など、こまごました備品を購入するための予算として組んでおくのが良いでしょう。

開業時に絶対必要なもの、金額は人によって異なる

絶対に必要なものはその先生の診療スタイルによって異なります。

たとえば、整体やマッサージメインで運営する場合は、最低限の電気治療器とベッド数台だけで良いでしょう。

一方、医療にこだわった診療をする場合は、エコー機器や超音波などが必要になります。

高価なものでいえば700万円ほどの機械もあったりします。

ちなみに、筆者は整形外科出身の柔道整復師であるため、最低限の検査機器、除痛のための物理療法機器などを一通りそろえました。

その結果、機器一式だけで800万円ほどのお金がかかりました。

自分の診療スタイルを考え、開業時に必要な金額を算定しましょう。

開業前にどれくらいの資金を貯めるべきか 

上記でも説明した通り、人によって必要な金額は異なります。

筆者は、1度目の開業の際に貯めていたお金は現金で約50万円です。

実際に50万円を元手に、+450万円の融資を受けたため、500万円の予算でスタートできました。

ただ、銀行や政策金融公庫などのお金を貸してくれる機関が融資をしてくれる条件に、

「借入額の10%の自己資金がある」との項目があります。

そのため、貯める最低ラインは自分が開業時に必要だと考えている金額の10%です。

開業する際に借入はするべき、すべて自己資金がいい? 

借り入れ肯定派と否定派の両方の意見があるということは前提において、私自身の見解としては、

少しでも早く開業して、気合を入れて院の運営をしたい人は借り入れをして早期に挑戦してみることをおススメします。

借り入れをするということは、毎月返済のリスクを背負うことになるので、常に背水の陣でやるしかないモードで頑張ることができます。

可能なだけお金のリスクを少なく開業したいと考えている方は、借り入れを極力ゼロにしてスタートできるように、しっかり自己資金を貯めてから開業準備をするのが良いでしょう。

借り入れがないと、月々の返済がないため、損益分岐を若干でも抑えることができ、相対的に早期に単月黒字を出すことができます。

開業の際に使える助成金など

接骨院の開業に使える助成金なども調べれば各自治体で準備されているものもあるでしょう。

たとえば、創業支援助成金新事業支援補助金など、みなさんがお住いの市区町村の助成金を検索するか、お近くの商工会議所に行って聞いてみましょう。案外、商工会議所の職員さんが親切に教えてくれます。

開業の際に無駄なお金を払わないコツ 

初めて開業するときは「何にいくらかかるのか?」の経験が少ないため、業者さんが提示してくる見積もりの額が正しいのかどうかの判断ができないことが多いです。

しかも、開業までに日がない場合には、業者さんは足元を見てきて、通常より高い値段設定をしてくることもしばしばあります。

見積もりをする際には必ず下記を行いましょう。

  • わかる人に確認すること(確認できるだけの余裕を持った計画にすること)
  • 合い見積もりを取ること

これを行うことで本来払わなくても良かったはずのお金がカットできることがあります。

開業に限った話ではありませんが、やったことがある人に聞くのが何より大切です。

また筆者は「こうなるからこれも先に準備しておこう」というタイプでなく、「必要な状況になったときに判断しよう」という考え方なので、最初から100%完璧な状態でスタートしなかったこともよかったです。

運営していく中で、必ずこれがいる・あれがいるということが分かっていきます。スタート時は可能なだけ最低限の設備・環境にしておくことをおススメします。

いかがだったでしょうか?

開業時にかかる費用と月々に必要なお金のことを自身の経験も含めまとめてみました。

筆者は大小4回開業経験があるため、いろんなパターンの開業方法を知っています。

自身がやってみたい開業スタイルを熟考して、自分に合ったタイミングとペースで開業することができたら何よりかと思います。

先生方の挑戦を心より応援しています。


執筆者情報

柔道整復師
元原 誠吾 先生

整形外科 副院長経験ありの柔道整復師
◆膝中心に年間1000例の手術に帯同
◆1回/週 ストーリーズ 病態鑑別クイズ
◆考え方や質問に対してのLIVEのみ発信
◆セラピスト診断学研究所 第一期運営メンバー
▼セラ研の入会はこちらから

RSS 柔整ドットコム