柔道整復師の競争激化は鍼灸師のダブルライセンスで解決しよう!

柔道整復師の先生に憧れて柔道整復師の道を志したものの、「将来、開業して食べていけるか不安」と思っていませんか?

街を歩くとあちらこちらに整骨院を見るようになり、整骨院の数はコンビニの数より多いといわれています。

今後も競争が激化することが予想され、生き残るためにはスキルアップが必須になるでしょう。

具体的なスキルアップとしては、鍼灸師や理学療法士、介護士などの別の国家資格を取得する必要があり、この中で特に私がおすすめなのは、柔道整復師の資格と相性がよい鍼灸師です。

なぜなら、柔道整復師は「骨折・捻挫・脱臼・軟部組織損傷」など急性疾患を扱うのですが、鍼灸師は慢性疾患に対応できるからです。

私も柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得することで、治療の幅が広がり、現に患者さまからも喜ばれています。

鍼灸師の資格を取得するメリットは他にも多くありますが、今回の記事では私の経験を踏まえて3つほどご紹介します。

鍼灸師の3つのメリット

鍼灸師の資格を取得することで得られる3つのメリットは、

  1. 深部を直接刺激して治療効果が高まる
  2. 内臓疾患も対応できる
  3. 自律神経系の疾患も対応できる

このように治療の幅が広がることで、多くの病に悩む方を救うことができ、また必要とされる臨床家になれるのです。

1つずつ詳しく解説していきます。

①深部を直接アプローチして治療効果が高まる

臨床の現場では「腰痛」の患者さまは多くいらっしゃいます。

腰部の筋肉は表層、中層、深層の筋肉で構成されています。

表層の筋肉には広背筋、外腹斜筋、胸腰筋膜が存在し、中層には下後鋸筋、脊柱起立筋、多裂筋、内腹斜筋が、深層には腹横筋、腰方形筋、大腰筋があります。

また、殿部には大殿筋、中殿筋、小殿筋などが存在しています。

手技療法では深部の筋肉にアプローチすることは難しく、体力も要ります。

1日に何人も施術していると疲れてしまいますが、鍼灸治療なら鍼を刺すだけで直接深部の筋肉にアプローチでき、緩めることができます。

実際に腰痛でいらした患者さまで「マッサージや整骨院に行ったけど全然治らず、腰が痛くて歩くのもツラい」という方に鍼灸治療をしたところ「帰りは楽に歩けるようになった」という話をよく聞きます。

また、手技療法では治りにくい足の痺れも、鍼灸治療であっさりと治ってしまうケースもあります。

②内臓疾患も対応できる

WHO(世界保健機構)の鍼灸治療の適応に、胃炎、慢性肝炎、糖尿病などの内臓疾患があります。

柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスなら、捻挫などで整骨院にいらした方で内臓疾患がある場合に、鍼灸治療の提案もできます。

また「肩が痛い」とか「腰が痛い」と訴える患者さまの中には、内臓疾患が原因の場合もあります。

そういった場合も、柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスなら治療ができるため患者さまに大変喜ばれます。

私が診た患者さまでは「背中が痛い」と訴えている方で、その原因は胃腸の不調だったので、胃腸の治療をしたら治ったというケースもあります。

③自律神経系の疾患も対応できる

ストレス社会といわれる現代では自律神経が乱れている方が多く、イライラや不眠に悩む方が非常に多くいらっしゃいます。

日本では自律神経失調症と診断された方は約65万人で、潜在的な患者数はその10倍とされています。

こういった症状には鍼灸治療はとても有効です。

私が診た患者さまは、主訴は肩こりだったのですが、精神的な緊張による不眠が原因でしたので自律神経を整える鍼治療をしたら良くなったケースがありました。

さらに、手技療法は治療院でしかできませんが、お灸なら指導して自宅でセルフケアをして頂くことができるので治療効果を高めることができ、治療院の売上にも繋がります。

ここまでは鍼灸治療の良さについてお伝えしてきましたが、鍼灸師だけでは不十分で柔道整復師の資格とのダブルライセンスによって活かされると私は考えています。

私は現在、鍼灸院を開業していますが、骨折や脱臼の鑑別をするときに「柔道整復師の資格を取得しておいてよかった」と思うことがよくあるからです。

柔道整復師の資格を取得していなければ、骨折や脱臼に気が付かずに治療をしてしまうことがあるかも知れないと感じています。

まとめ

大きく以下の利点があると私は思っております。

  • 柔道整復師は「急性疾患」を、鍼灸治療では「慢性疾患」を治療するので、ダブルライセンスの場合はどちらでも対応ができ、治療の幅が広がる
  • 鍼灸師の資格を取得することで、「深部を直接刺激して、運動器系疾患の治療効果が高まる」「内臓疾患も対応できる」「自律神経系の疾患も対応できる」など、治療の幅が広がる
  • 鍼灸師の資格だけですと骨折や脱臼の鑑別ができないので、間違った対応をしてしまう可能性があり、柔道整復師とのダブルライセンスで活かされる

これから柔道整復師の資格を取得して臨床家として生きていきたい方や、すでに柔道整復師の資格を取得していて独立開業したいと考えるなら、鍼灸師とのダブルライセンスがおすすめですよ!


執筆者情報

薬剤師・鍼灸師・柔道整復師
阿部 和哉 先生

【経歴】
東洋鍼灸専門学校、東京医療専門学校卒業。
鍼灸接骨院に6年間勤務し、田園調布の鍼灸院で雇われ院長として3年間勤務後、藤沢市で鍼灸マッサージ院を開業。

公式ホームページ:
ルート治療専門院 湘南なごみ https://abelog40.com/
しんきゅうコンパス  https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/35583/

RSS 柔整ドットコム