柔整師 × 医者 の連携プレーの重要性

※写真のモデルはイメージになります。

柔道整復師として整形外科で働いていると、学べることが多くある一方、歯痒い思いをする事もあります。

私が働いていた整形外科クリニックで体験したことを踏まえて、現在感じている柔道整復師と医師との連携の大切さをご紹介出来ればと思います。

整形外科医院で柔道整復師が学べること

柔道整復師として整形外科医院にて医師のすぐ近くで仕事が出来ると、学べることがとても多くあります。

  • 整復固定や後療法の勉強ができる
  • 圧倒的に患者の人数や症例数が多い
  • 画像診断の勉強ができる
  • 保存療法の限界が学べる
  • 薬物療法の勉強ができる
  • 他の職種(看護師、薬剤師、理学療法士、介護士、義肢装具士など)の知識技術が習得できる
  • 接骨院からどのように紹介すべきか検証できる(開業したときに医師と連携する必要があるため)

・・と少し考えるだけで、これだけ挙げられます。

悔しい気持ちと歯痒い想い

私も整形外科クリニックで働いていた柔道整復師なので、たくさん勉強させて頂いておりました。

整形外科で働く柔道整復師は、多くはリハビリテーション室で患者様の治療にあたります。

中には急性外傷の整復固定処置、医師の診療補助、外来の予診を取ったり、病棟の業務をも任せてもらえたりする医院もあります。

そうなると、

とにかく忙しい。

一息つける時間がない程忙しい医院は、少なくないと思います。

このような忙しい環境下で仕事をすると、学べることも多くある一方で、歯痒い思いをする事もあります。

一般の慢性疾患でリハビリテーションに通われている患者様は、相当数いらっしゃいます。

理学療法士の方達が行うリハビリテーションとは異なり、患者様ひとりひとりにかけられる施術の時間は、どうしても少なくなってしまうことがあります。

※すべての医院、すべての患者様がそうだとは言えません。あくまで私の経験上の内容になります。

柔道整復師として施術を行うときに、

  • もう少し時間がかけられれば、この患者様を救うことができるなあ・・
  • もうひとつあの施術ができれば、この患者様はもっと楽になるだろうなぁ・・

1日のうち、そう思うことは多くありました。

それができず、時間に追われて次から次へと仕事が舞い込んで来るのです。

リハビリだけならまだしも、急性外傷の患者様が外来に来られた時には、リハビリの順番を止めて処置をしに行きます。

他にも診療補助をしたり、病棟で体動がしにくい患者様の移乗をしたり、リハビリテーション室以外に呼ばれてする仕事もあります。

もちろん自分の経験値として、そのような仕事ができることはとてもやりがいがあります。

ただいつも「もう少し我々の主戦場であるリハビリにかけられる時間があれば」と考えて仕事をしていました。

医師と柔整師の根本的な違い

一方で、医師はどうでしょう。

一口に言ってしまえば、患者様ひとりひとりにかける時間が少なくても、救える患者様が多くいらっしゃいます。

整形外科医の先生方は、もちろん医師として医療行為が認められた存在です。

さまざまな診察法で導き出されたものを基に診断をつけ、症状や病態に合わせて、投薬、注射、手術、リハビリテーションなど治療を行います。

これも全てとは言いませんが、我々の施術と比べると、患者様ひとりひとりにかけられる時間はトータルで考えても少なめです。

少なくても、患者様を救うことができるのです。

決してひがんでいるわけではありませんが、私はその時間の短さに羨ましささえ感じていました。

というか、考え方が若かったです(笑)

医師と連携をとることの大切さを分かっていませんでした。

じっくり考えれば分かることで、厳しい医師国家試験に合格した医師は、これまた長く厳しい全ての臨床医学を学ぶ期間を経て、日々進化する医学を学び続けた上で、様々な角度から患者様を診察し、治療しています。

間違えがあってはならないですし、我々柔道整復師とは比べ物にならないほどの責任感と緊張感の中で、日々患者様と接しているのです。

ひとりひとりの時間のかかり方など、関係ありません。

それが若い頃の私は分かっていませんでした。

柔整師×医者による連携の大切さ

医師の先生方がいるから、我々柔道整復師は柔道整復術や医療類似行為を行うことができているのです。

整形外科で働いていればもちろんのこと、接骨院で働いていても同じことだと思います。

むしろ、接骨院で働く柔道整復師の方が医師との連携は重要かと思います。

整形外科では医師が診察したのち、柔道整復師が対応できる患者様にのみ対応します。

リハビリ中、医師しか治療できないような疑いの患者様や、なかなか改善が見られない患者様が居たら、その日のうちにすぐ相談できます。

接骨院では、ちょっとした痛みや違和感で気軽に来られる方も多いと思います。

しかしながら、その来られた方の中に医師にしか治療できないケガや病気が隠れている場合もあります。そしてその方を速やかに医院に紹介することが求められます。

主な紹介先は整形外科かと思いますが、中には内科的疾患、悪性新生物、脳血管疾患などが疑われる方も居るので、注意が必要です。

そのようなことから、医師が近くに居る環境や、すぐに紹介できる関係性はとても大切だと思っています。

医院での診察のあと、接骨院で柔道整復師が加療していくことが問題なければ、患者様は安心して楽に接骨院に通うことができますし、医院ではより重症度の高い方や投薬などが必要な方の治療に専念することができます。

医師と柔道整復師が連携すれば、患者様にとって、適切な場所で、いちばん必要な治療が受けられるのです。

柔道整復師の強みを活かす

我々柔道整復師の強みのひとつとして、患者様が身体や身の回りの相談をしやすいことが挙げられます。

患者様との立場や心の距離感が近いということです。

医師との連携がうまくとれるような環境、関係性ができていれば、患者様にとって我々柔道整復師は「ただ施術をしてくれる人」というだけではなく、気軽にできる「街の医療の相談窓口」になれるかもしれません。

※繰り返しにはなりますが、整形外科医院での経験はあくまで私の経験から感じた少しだけ歯痒い思いをしたお話です。すべての医院や柔道整復師、患者様に対してそうだということではありません。

整形外科医院で経験した圧倒的な症例数、治療を最初から最後までみせて頂いた経験は、いつまでも私の財産であり武器です。

すべては患者様のために、柔道整復師と医師との連携を密に取れるようにして、日々医療の勉強と自己研鑽に努めていきましょう。


執筆者情報

柔道整復師
Y・H 先生(店舗完全紹介制のため本名非公開)

【経歴】
救急指定の整形外科クリニックにて、急性外傷や慢性疾患の幅広い症例を経験。
全国高校サッカー選手権、フラッグフットボール、格闘技などのトレーナー、救護活動にも従事。
現在は静岡県沼津市で整骨院を経営する。

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