【現役のパーソナルトレーナーが語る】柔道整復師とトレーナーの違いを教えます

※写真のモデルはイメージになります。

“柔道整復師” と “トレーナー” って何が違うのですか?

と聞かれることがあります。

一般的に ” 柔道整復師 ” といえば「接骨院の先生」、 ” トレーナー ” といえば「ジムやスポーツ現場で活躍する方」というイメージではないでしょうか。

ただやっていることに関しては同じようなことじゃない?と思う方もいるかもしれません。

そこで今回は、柔道整復師とトレーナーの違いについて解説したいと思います。

職業的な違いについて

柔道整復師は主に骨折・脱臼・捻挫・打ち身といったケガに対して治療を行う業務を、独占的に許された職業となります。

骨折したときに折れた骨をもとの位置に戻す、脱臼した肩をはめるといった行為は法律で、” 柔道整復師 ” にだけ(医師を除く)許された行為であり、言い換えれば、” 柔道整復師 ” でなければ業務としてやってはいけない行為であります。

一方、トレーナーというのは、誰を対象とするかによってやることが分かれてくる職業です。

ダイエットを目的にトレーニング指導をすればダイエットトレーナー

スポーツのパフォーマンス向上を目的にトレーニングを指導すればスポーツトレーナーなど、クライアントが求める目的を、トレーニングを通して達成させるのがトレーナーの仕事です。

つまり、トレーナーを定義するならば、トレーニングを通してあらゆる目的を達成させる指導者ということになります。

「柔道整復師」とは

主に治療を目的とした職業

「トレーナー」とは

個々の目的をサポートする職業

というような形で表現できます。

資格の要否について

柔道整復師とトレーナーの大きな違いのひとつが、資格です。

柔道整復師

柔道整復師になるには、国家資格が必要です。

柔道整復師はその業務を行うにあたり、資格がないとできないものになります。

柔道整復師の資格を得るには以下のような条件があります。

三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他柔道整復師となるのに必要な知識及び技能を修得したものでなければ、受けることができない。

柔道整復師法 第三章 試験 - 第十二条より

つまり簡単に言ってしまえば、3年間学校に行き、試験に合格した人間しかできないということです。

国家資格というのは、国が一定水準以上の知識や技術がありますと認める資格なので、「柔道整復師」というだけで社会的に認められているということを証明できることになります。

トレーナー

一方トレーナーになるには、特に資格を必要としません。

トレーニングを指導できる技術があれば誰でもなれます。

ただ、ある程度の知識や技術があることを証明できたほうが、受ける側としては安心できます。

そのためにトレーナーの民間資格を取得するという方は多いです。

  • スポーツトレーナー
  • アスレティックトレーナー
  • メディカルトレーナー

など、多様多種多様にありますが、どの資格を取得するかは対象となるクライアントで変わってきます。

共通して言えることは、どの資格でも必ず身体のことに関する知識を必要とするということです。

トレーニングの方法は知っていても、科学的に裏付けされた説明ができるかできないかで、クライアントからの信頼度が違ってきます。

役割としての違いについて

柔道整復師とトレーナーにおける役割は、職業的な違いで述べたように、柔道整復師は「医業」として、トレーナーは「サービス業」として位置付けられます。

柔道整復師の業務というのは、柔道整復師にしかできません。

したがってケガの治療をするというのは、医師を除き「柔道整復師」にしかできず、「柔道整復師」というのはケガをした方の ” 受け皿 ” になっているということです。

日常生活でのケガはもちろん、スポーツでのケガや交通事故といったものも扱います。

治療という側面では、柔道整復師を必要とする場面が多いでしょう。

一方でトレーナーが活躍する場は多岐にわたり、クライアントが求めるものによって変わってきます。

柔道整復師と似たようなところで言えば、スポーツトレーナーによるトレーニングで肩こり、腰痛といった不調を改善できることもあります。

また、肥満やストレスなどによって不調をきたす人は、トレーニングによって肥満やストレスを解消することで結果的に不調を改善できるということも多くあります。

こうした場合は、トレーナーの活躍が大きな成果を出すと言えるでしょう。

また姿勢を改善したい、見た目を変えたいという美容に関する問題や、スポーツでのパフォーマンスを向上させたいといった問題に関しては、より専門的な知識を有するトレーナーの活躍が期待できます。

まとめ

柔道整復師とトレーナーは業務内容や資格の違いはあれ、ヒトの身体を扱う仕事であることは変わりません。

どちらもクライアントが抱えている問題を解決するという点では、同じようなことをするときもあります。

ただ、現代では多種多様な考え方が求められており、様々な角度から問題解決の糸口を見つけることが重要になってきます。

どちらが優れているとかではなく、それぞれ誰かの役に立っている仕事だという自覚を持ち、知識や技術はもちろん、ホスピタリティの心をもって接する姿勢をもつことが大切です。

これから柔道整復師やトレーナーを目指す、あるいはその道に進み始めた人は、誰のために何のためにやるのかを意識して、クライアントと向き合っていただきたいと思います。


執筆者情報

パーソナルトレーナー/柔道整復師
糸川 亘(いとかわ せん) 先生

【経歴】
柔道整復師として5年間整形外科に勤務したのち、パーソナルトレーナーとして独立。
現在愛知県蟹江町でコンディショニングジムの運営とパーソナルトレーナーとして活動している。
また一方でダンサーとして16年間、様々な公演活動を行う。
治療家として、トレーナーとして、ダンサーとして体験してきたからだづくりの知識と経験を生かして、健康な心とからだで充実した生活を送れるサポートしています。

公式ホームページ:
コンディショニングジムFINE https://shinomaru-sekkotu.com/

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