柔道整復師になる上で考えておきたいこと

※写真のモデルはイメージになります。

法律における柔道整復師という職業とは

柔道整復師の仕事は『運動器に加わる急性、亜急性の原因によって発生する各種の損傷に対する施術』と定義されています。

具体的には骨折・脱臼の応急処置、打撲、捻挫、筋挫傷等に対して回復を図る施術を行います。

このことは柔道整復師法にも記載されており、

柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫の患部に施術をできるが、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急処置をする場合は、この限りではない

柔道整復師法 第17条

と書かれています。

また柔道整復師になるためにも、

柔道整復師となるのに必要な知識、技能を修得したものでなければ国家試験を受験することできない』と記載されており、3年以上、文部科学大臣の指定した学校(4年制大学、短期大学)、又は厚生労働大臣の指定した学校(専門学校)に入学し必要な知識、技能を修得する必要があります。
さらに柔道整復師法第3条に『厚生労働大臣の行う柔道整復師国家試験に合格しなければならない。

柔道整復師法 第12条

と記載されており、国家試験を通過して初めて柔道整復師になれます。

柔道整復師を目指すきっかけ ~私の場合~

普通の会社員にならずに「柔道整復師」になる場合、多くの人は何かしらのきっかけがあります。参考までに私自身が柔道整復師を目指したきっかけをお話しさせていただきます。

自分が柔道整復師を目指すきっかけは小学生から高校生までサッカーをし、よく怪我をしていたから。怪我をする度に接骨院の先生にお世話になっていました。

そして接骨院で施術をしてもらうと症状が緩和していたので、自分もこういう先生になりたって人に感謝されたいと思ったのがきっかけです。

似たような資格として柔道整復師以外にも鍼灸師や理学療法士、トレーナーなどの資格があることは、柔道整復師を目指した当時あまり知りませんでしたので選択肢に入りませんでした。

実際に学校に行ってみると、自分と同じな理由をきっかけとして柔道整復師を目指す同級生が大半でした。他には身内に柔道整復師がいるからという同級生もいましたが。

また、印象的だったこととしてスポーツ経験者が柔道整復師を目指している人が圧倒的に多く、スポーツ未経験の人もスポーツを見る事が大好きな人が大半でした。さらに、セカンドキャリアとして柔道整復師を目指される方もいらっしゃるので、幅広い年代の方が柔道整復師の学校に通われていました。

柔道整復師の養成校の選び方

古いデータにはなりますが柔道整復師を養成する専門学校、大学、短期大学数は平成27年現在で全国に109校あります。

学校が多くあるのでどこに行けばいいのか悩む方もいるでしょう。まずは自分が求める学校の条件を考え、それを踏まえた上で学校を選びましょう。

参考までに私が学校を選んだ条件を提示し、説明させていただきます。

当時、私は東京に住んでおり、柔道整復師だけでなく、鍼灸師の資格も取れる事を前提条件としていました。その上で下記の条件を考えました。

  • 国家試験合格率が高い
  • 実家から通うことが可能な距離に学校がある
  • 公共交通機関が不通になった場合でも実家に帰って来れる距離に学校がある
  • 最短で鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスが取得できる

チェック項目の1つ目の合格率は誰しもが気にする項目なので割愛します。

2つ目と3つ目の条件は自分の中では重点項目でした。学費を払ってもらっている以上は公共交通機関がどんな状況であれ、必ず通学ができ、しっかり学べることが私にとっては重要でした。実際に自分が選んだ学校は公共交通機関で通える範囲であり、時間はかかってしまいますが、自転車で通える範囲の学校を選びました。

4つ目の条件として最短でダブルライセンスを取得を考えました。

理論上、3年という短期間で鍼灸師と柔道整復師の免許を取得することは可能です。ただ、自分の学力的に難しいと考え、鍼灸師は4年制大学、柔道整復師は夜間の短期大学に通い、ダブルスクールを行いながら取得すること目標として学校を選び、実際に5年でダブルライセンスを取得しました。

養成校によりダブルライセンスが取得できる期間は異なりますので、ダブルライセンスの取得を考えている人はその点も調べてから学校を選びましょう。

また、学校選びで最も大事なことは学校の雰囲気が自分に合うかどうかです。必ずオープンキャンパスに参加し、在校生の生の声を聞いたり、学校の雰囲気を味わったり、環境がどれだけ充実しているかを肌で感じ、入学してから後悔しないようにしましょう。

柔道整復師免許を取得後のプラン

柔道整復師になると接骨院で働くと考える人が多いでしょう。しかし、柔道整復師の免許を取得後の進路は多岐に渡ります。

  • 接骨院に就職
  • 整形外科に就職
  • スポーツジム等に就職
  • 柔道整復について学術研究がしたいので大学院に進学
  • トレーナー資格を取得するために進学
    • 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
    • 留学(NATA-ATCの取得 など)
    • NSCA-CSCSやNSCA-CPT など
  • 他の医療資格の取得のために進学
    • 鍼灸師
    • あん摩マッサージ指圧師
    • 理学療法士 など
  • 柔道整復師の教員免許を取得するために進学

など様々な進路が考えられます。

近年では自分のように、柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得される先生が増えました。ダブルライセンスを持っていると柔道整復師のみの場合よりも活動の幅が広がるので選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

柔道整復師になることを目標とするのではなく、柔道整復師になってからどうしたいのかを考えましょう。

最終学年になると国家試験対策や就職活動などで忙しくなってしまいますので、入学後など比較的時間に余裕がある時期にプランニングすることをおすすめします。

長くなりましたが、今回のコラムが少しでも参考になれたら幸いです。


執筆者情報

柔道整復師・はり師・きゅう師
高橋 健太 先生

【経歴】
帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科 卒業
帝京短期大学ライフケア学科柔道整復整復専攻 卒業
セラピスト診断学研究所 第一期運営メンバー

【所有資格】
はり師、きゅう師
柔道整復師
学士(健康科学)
短期大学士(保健衛生学)

現在は東京スポーツ・レクリエーション専門学校 アスレティックトレーナー養成科に在学中

▽セラピスト診断学研究所 @therapist_connection
▽トレーナーアカウント @t.kenta_trainer

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