※写真のモデルはイメージになります。
皆さま、こんにちは。
老人介護施設で働いている柔道整復師のほんまと申します。
前回のコラムでは私の経歴話が中心になってしまい、老人介護施設や機能訓練指導員についての説明が疎かになってしまったため、今回はそれらを中心にお話させてもらおうと思います。
※前回のコラムはこちらから
介護施設について
” 機能訓練指導員 ” という職種を説明する前に、介護保険についてお話をすることになります。
多くの老人介護施設は、介護保健法に基づいて運営されており、要支援や要介護の認定を受けた高齢者に対してサービスを行います。
分かりやすくレベルごとにして表すと、
レベル1~2 : 要支援
レベル3~5 : 要介護
といったように、大きい数値で認定されるほど、日常生活のお手伝いがたくさん必要な方だということになります。
介護サービスの種類も多種多様にあり、今住んでいるお家でこれからも安全に安心して生活するために、手すりを設置することや滑り止めを設置することなどの住宅改修から、食事の配送サービス、入浴困難な場合に訪問入浴などのほかに、訪問リハビリサービスや訪問看護サービスもあります。
ワゴン車などで送迎し、日中施設ですごせるデイサービスも介護サービスの1つです。
ご利用者さまによっては、独り身で他に助けてくれる親族が身近にいなかったり、改修では補えないような住宅環境であったり、自宅での生活がどうしても難しくなってしまうこともあります。
その際は入居型の老人介護施設に利用することも選択肢として準備されます。
特別養護老人ホームはその1つで、上記の要介護(レベル3)以上の方が利用される施設になります。
要支援や要介護の認定を受けたら自分で好きなサービスを選ぶわけではなく、担当のケアマネジャーと共に介護サービスを組み立てケアプランを立ててもらい、そのプランにそってサービスを受けることになります。
認定を受けた方々は、いろいろなサービスを介護保険で利用できますが、サービスを提供した側には、介護報酬として支払いが行われます。
いろいろあるサービスの中でも、私の勤める社会福祉法人は3つ建物を所有していて、事業所として、老人デイサービス、グループホーム、ショートステイ、特別養護老人ホームの、4種類のサービスを提供しています。
機能訓練指導員について
施設へ送迎や、お食事、お風呂のお手伝いや見守り、おトイレのお手伝いなど、ケアワーカーと呼ばれる介護士の方々が日常生活をお手伝いしますが、その中の1つのサービスとして「機能訓練」が含まれます。
実際は他の事業所でも機能訓練指導員の活躍の場はあるのですが、私の経験したデイサービスと特別養護老人ホームのお話をします。
デイサービスは運営の際、「機能訓練指導員」の配置が義務づけされています。
機能訓練指導員として従事するためには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、条件はありますが鍼灸師の資格を持っている必要があります。
デイサービスでは、これからも自分のお家で生活していくこと、自立を支援するという考えをもとに、計画をたてます。
機能訓練では体力をつける、関節を動かすといった漠然とした内容ではなく、玄関の大きな段差を1人でも安全に昇降できるようにする、自宅での入浴のために浴槽を跨げるようにするなど、具体的な内容に合わせた訓練内容を決めていきます。
そのためにご利用者さまのご自宅へ定期的に訪問させてもらうこともあります。
デイサービスでは機能訓練の計画を立て、条件を満たすと「機能訓練加算」が追加算定され報酬として支払われます。
特別養護老人ホームでは、要介護(レベル3)以上のお手伝いの内容が専門的で、多く助けが必要な方々が施設入居という形で住まわれているところです。
介護士が日中夜間問わず常駐しています。夜間は不在ですが、日中は看護師や機能訓練指導員も一緒にケアをしています。
デイサービスと同様で、機能訓練指導員として従事するためには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師の資格を所持している必要があります。
特別養護老人ホームでは運営の方法などにより若干の違いはありますが、機能訓練指導員の配置義務があり、計画の作成や状態評価など行い、計画を実行することでご利用者の身体能力の維持に努めます。
すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「機能訓練指導員」とは、資格の名称等ではなく、「介護を必要とする方の生活機能を訓練し、(不自由することがないよう)指導する職員」で、事業所が加算申請の際条件を満たすための人員の呼称であると思ってもらった方がとよいかもしれませんね。
整骨院業務との違いについて
転職したころは、業務内容は当然として、考え方を修正することに苦労しました。
整骨院に勤めている頃は同業の先輩や後輩と治療方針を話し合うことはありましたが、まったく違う資格を持つ人と同じ目的での話し合いや協同することはありませんでした。
介護の現場では、他職種との連携していくことで、ご利用者の生活の質向上のために動きます。
例えると、ケガをしているわけではないけど、足が痛いご利用者の痛みを少しでも和らげ生活しやすくするためには何が必要かを、いろいろな職種のスタッフが集まり、相談し計画を立てていきます。
デイサービスを利用しているご利用者さまの中には、整骨院によく行くと話されるほどお元気な方も多くおられますが、特別養護老人ホームに入居されている方は、介護度が高い方々です。
片麻痺の方、認知症の方、寝たきりで自分で寝返りができない方もいらっしゃるので、対応する方々の身体状況の違いが整骨院業務との一番大きな違いになるかもしれません。
高齢者特有の疾患やケガなど、整骨院で学んだことや経験がとても役に立つこともあります。
生活の質を上げるという意味では、整骨院での活動も、介護施設での活動も同じではないかと私は考えています。
まとめ
老人介護施設に勤める柔道整復師が、介護施設や機能訓練指導員について話させてもらいました。
少しだけでも介護施設がどういったものか、機能訓練指導員がどういった職種なのかが伝わったのならば幸いです。
痛みの改善やケガの治癒、身体機能の維持と自立支援、言葉や活動する場所は違いますが、どちらもご利用者さまに
” ありがとう “
” おかげで助かるよ “
と言ってもらえる、とてもやりがいのある素敵な仕事だと思います。
柔道整復師・介護老人福祉施設職員
ほんま としひろ 先生
【経歴】
株式会社員を約9年、整骨院業界を約5年経験し、現在の社会福祉法人員を9年目の柔道整復師です。