柔道整復師のキャリア設計について学ぶ

※写真のモデルはイメージになります。

柔道整復師になるには、ほぼ必ず専門学校か大学に通い卒業しなければいけません。

そして、卒業すると(正確には卒業見込みを学校からもらえると)国家試験を受けることができます。

無事、卒業し試験に受かると柔道整復師として働くことができます。

資格を取ると柔道整復師として働くことになりますが、いくら頑張って勉強してきたとしても実際に患者さんを目の前にしても、卒業してすぐはできることがほとんど何もないと思います。

専門学校や大学で勉強した知識や練習した技術も、現場で実際に患者さんを施術する経験を積むことで初めて使えるものになります。

その「柔道整復師としての経験を積むため」にどのような職場を選び働けばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、私の経験も含めてどんな職場でどんな経験が得られるかを書かせてもらいました。

接骨院

公的医療保険を利用し捻挫・打撲・挫傷・脱臼・骨折に対して施術を行います。

それとともに保険の適応とならない症状(慢性的な痛みなど)に対して自費での施術を行うところもあります。

(公的医療保険の取り扱いが段々と厳しくなり柔道整復業界の国民医療費が8年連続で減少していっているので自費サービスに力を入れていく所はさらに増えてくると思います。)

柔道整復師が患者さんから話を聞き、触り、動きを見てケガの状態を見極めそれに対してどのような処置をしていくか判断していきますので、どこの何を痛めているのかを診る鑑別能力、それに対する処置を決める適応力が鍛えられていきます。

※外傷を診れる機会があまりなく、ただ痛いところに電気を当てて揉んでくだけの所もあります。

整形外科

医師の診断を受けた患者さんを医師の指示のもと、患者さんに処置をしていきます。レントゲンやMRIなど画像検査や血液検査などの様々な情報を見ることができます。

様々な情報と実際の患者さんの状態を見比べることができるのでより正確にケガの状態を診れるようになります。

理学療法士のように運動療法などを任される場合もあります。

また、看護師や理学療法士など他の医療職の方たちとも連携していくので幅広い知識が身につくと思います。

※医師の指示通りにしか処置できない歯がゆさがあります。また電気治療のセッティングや患者さんの誘導しかできない所もあります。

介護保険施設

介護施設においての柔道整復師は、機能訓練指導員として働きます。

主に高齢者を対象に動けるカラダを維持するための運動指導やできなくなった動きをとりもどす機能回復訓練を行います。

外傷に対する処置をする場面はほぼありませんが、高齢者のさまざまな症状に対してトレーニングなどを考え行っていきますので介護系に力を入れていきたい人はこのような職場もいいと思います。

※送迎やレクリエーションを行ったりしますので、柔道整復師としての仕事に専念できない所もあります。

リラクゼーション施設

「〇〇分〇〇〇〇円」などと看板の出ている、ほぐし屋さんと呼ばれている所です。

働くために特に資格は必要ありませんが、学校で勉強してきた筋・骨格系の知識が必要とされます。他の職場よりも身体を触る量が多いので短期間で筋肉をゆるめる技術などが磨かれます。

※治療というよりも慰安を目的とする利用者さんが多いので、ただ相手の気になるところだけを揉んでいくような事になりがちです。

訪問

施設で働くのではなく、自宅に訪問するサービスをやっていきたいと考えている人も増えているようです。

公的介護保険または公的医療保険を利用した訪問サービスとしては「訪問リハビリ」「訪問マッサージ」をよく目にすると思います。

「訪問リハビリ」は公的介護保険、または公的医療保険を利用し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅や施設に訪問しリハビリを行います。

「訪問マッサージ」は公的医療保険を利用し、あん摩マッサージ指圧師が自宅や施設に訪問しマッサージを行います。

残念ながら柔道整復師による公的介護保険を利用した訪問サービスは現在ありません。

公的医療保険を使用して柔道整復師が訪問サービスを行うとすると「往療」という形になります。往療とは柔道整復師が患者さんの自宅に訪問し施術を行うことです。

通常の施術料に合わせて往療費が加算されますが、患者さんが家から出られない状態でないと使えません。行うことは基本的に接骨院で行っている施術と同じです。

または自費での出張整体のような形でのサービスになると思います。民間資格や無資格者も多い整体師に対して国家資格である柔道整復師を持っているという信頼感・安心感は大きなアドバンテージとなるはずです。

公的保険を利用しないので利用者の支払う料金が高くなりますが制約がないので自由に内容・料金を設定できます。

※基本的に一人で訪問することになるので先輩たちの技術などを学ぶ機会はすくないです。

さいごに

どこで働くかを考える前にまず、どのようなことができるようになりたいのかを考えてみましょう。

そして、そのためにはどんな技術・知識が必要なのか、それを意識して職場を探しあなたにあった場所を見つけ出してください。

同じような施設でも場所によってできる仕事が全く違います。いくら条件が良いからと調べずに入ると自分の経験したかったことが全くできずになんとなく時間が過ぎてしまい、数年たっても求めている技術が何もついていない方も少なくありません。

ぜひ一度見学に行き本当に自分が身に着けたい技術・経験がその職場で得られるか、ちゃんとチェックすることをお勧めします。


執筆者情報

柔道整復師
岡本 久志(おかもと ひさし) 先生

接骨院で3年勤務・整形外科で10年勤務・独立開業して8年です。
現在は「筋肉がスムーズに動く身体を作る」をテーマに施術しています。

公式ホームページ:
治療院ゆるり https://yururixurawa.net/

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