【地方整骨院の1日の流れ】地方移住で整骨院をはじめた話 その2

柔整やってますか?

柔道整復師の長田(おさだ)です。

前回は、地方に移住し整骨院を開業したきっかけや経緯についてのお話をしましたが、今回はその続きとして、1日の流れなどの各テーマごとにご紹介していきたいと思います。

※前回のコラム(地方開業したきっかけや経緯)はこちらから

地方整骨院の1日のスケジュール

まずは簡単に私の整骨院の話をしますと、うちでは ” 完全予約制 ” で運用しています。

もともとは予約なしで経営していて、朝9時~夜21時までを診療時間にしていたのですが、整骨院しかできない環境がまた不便と思い、空いてる時間を有効活用するために予約制にすることにしました。

基本的には診療時間以外は自由にしてます。

稀に飛び込みや急患で診療することもありますが、そのときはしっかり診療や施術を行います。

営業時間は遅いときで夜19時ぐらいまで診療受付していることもありますが、ご近所は農家さんが多く、外が暗くなったら患者さまはほぼ来院されません。

農村においては、時間よりも日照時間、季節より天候が重要です。

格言のようなことですが、実際に自然を相手に生活をしていますので、この環境は必然ということになるのでしょうね。

予約のない日や空いてる時間帯で何をしているかというと、農業をしたり、村づくりのプロジェクトを練っていたり、地元の子どもと遊んでいたり、趣味・娯楽、自身の勉強時間に充てています。

大切なのは、そのときやらなくてはならないことを、優先にしてやっていることです。

前回でもお伝えしたように、何もしないと何も起きない環境のため、普段から整骨院経営+αで行動するように心掛けています。

そのため予約についても「午前中のみ受付」や、「丸1日予約受付不可にし1日中フリーにしておく」など、状況状態に合わせてコントロールすると、多くのことができるようになります。

現在取り組んでいること

現在行っていることは、

・農業法人設立の準備
・一般社団法人での村づくりの活動規模を拡大
・地域包括ケア(地域医療)メンバーとして活動
(医師・看護師・介護福祉士などと連携したセミナー開催)

などをやっています。

高冷地の農村において、冬はとても厳しい季節で、いろいろと準備する時間がたくさんあります。

村全体がシーン…と静まり返る時期でもあります(笑)

そのためこういった閑散期は、次シーズンに向けたネタを仕込み、しっかりと熟成させるような事前準備しておくことが大事です。

去年もさまざまな活動をしたのですが、その反省とこれからの思考をしっかりと持つことが村づくりの活動には欠かせないと思います。

ただ、こういった時期だからこそ、休めるときはしっかりと休み、リフレッシュやストレス発散をすることや、家族との時間を設けることもとても大事です。

私の場合、平日休日問わず、家族を連れてスノーボードに行きます(笑)

地方移住をする前は、仕事をしすぎて子どもに泣かれたことがあって、本当に情けない思いをしたことがあります…。

仕事を仕事と考えていると、村づくりどころか、家庭作りもできなくなってしまうのだと我が子から学びました。

今は、あらゆることに対して「仕事」という感覚ではなく、
” 楽しいと思ったことをする “
” やらなきゃならないことをする “

といった感じでやっています。

お金が発生するかどうかということを、あまり重要視しないように考えることを心掛けています。

お金が出る出ないを考えてしまうと、お金が発生しない子育ては苦痛と思えるようになってしまい、我が子にもそういった思いをさせたくないので、何事もフラットに考えるようにしてます。

少し話が逸れてしまいましたが、結論、私が整骨院経営以外で行っている農業法人の設立や、地域包括ケア活動は、子育てやスノーボードをやるのと同じように、「楽しいこと」「やらなきゃならないこと」として日々精進しているということです。

地方移住をすることで、「労働する」という感覚はほぼなくなってしまいました。

ある種、活動家みたいな感覚なのかもしれませんね(笑)

私が行う柔道整復と、それに伴う考え

学生の頃はいろんな施術を勉強してきました。

ナニコレと思うような施術の仕方や、ちょっとヤバい方向性を持った施術も見たり聞いたりしました。

そして、私なりにたどり着いた答えが、患者さまの環境にあった施術を行うということです、やはりこれに尽きます。

実際問題、患者さまの身体を激変させること自体、私はそこまで難しくないと思ってます。

いろんなアプローチで症状を改善させている治療家がいますが、私は基本的に解剖学生理学で、スパイラルテープも使ったりしますが、基本は西洋医学に基づきます。

症状を大きく改善させても、患者さまの環境は絶対に無視できないと思います。

つまり、痛みを取り除いた方が良い場合と、そうでない場合があるということで、動いてほしくない症状の患者さまに対し、痛みを取り除いてしまったら、その患者さまは当然動き回ります。

その結果、施術家として威厳は残せても、大きなリスクや負担を患者さまに背負わせてしまうことだってあるということです。

疼痛を除去したいため筋肉を緩めすぎて出力が下がってしまい、一時的とはいえ歩けなくなったり怪我を誘発させてしまったとか、よく耳にする話です。

私が思うに、こういったのは施術者の自己満足でしかないと考えています。

無抵抗でベッドに横になっている患者さまに施術する人間は、「自分のやりたいこと」を無理やり押し付けてはいけないと思います。

患者さまの環境を充分に考慮し、
” どのようになりたいのか “
” 明日はどのようになっていてほしいのか “

これを考えなきゃなりません。

明日は仕事なのか、休みなのか、長時間の運転があるのか、長時間歩くのか、この環境を考慮して、明日の患者ささまのリスクを回避できるような施術をする。

私が意識する施術はこういったところです。

私は患者さまといっぱいお話します、その理由は、患者さまの環境を把握する上でとても大事なことだからです。

施術の仕方はさまざまです。

しかし、施術の手法を知っていることと、学問的な観点から説明できることは全く異なります。

○○法みたいな手技をいくら勉強しても、患者さまの環境を知らず施術を行ってしまうことはあまりお勧め出来ないと私は思います。

特に地方での整骨院の場合、いろいろな既往歴のある患者さまがたくさんいらっしゃいますので、生理学や一般臨床、外科学をしっかり勉強、理解しておく必要があります。

それは地域の医療を担う「柔道整復師」という立場上、医者や医師と同等レベルの意識と知識が必要になるケースがあるためです。

患者さまを改善させるにはどうしたらいいのか。

高齢者には運動療法が必須に決まっていますが、
・それを選択しても良い日なのか
・違うアプローチをしたほうがいいのか
・本日の体調は?
・明日の予定は?
・気温は?
・路面は?
・血液検査したほうが良い症状では?
など、考えることはいっぱいあります。

患者さまにすべてを理解してもらうことは難しいかもしれませんが、施術者が患者さまをコントロールをすることはとても重要です。

この考え方は都会の整骨院だろうが、地方の整骨院だろうが関係ないと私は思っており、もしこの記事を読んでいる学生の方や関係者の方々にも是非考えてもらいたいところです。

…ちょっと偉そうなことを言ってしまいました(笑)

施術は非常に奥が深くて、私も駆け出しの頃はテクニカルな部分に走っていた時期もありました。

学生の頃はよくどこかの整骨院に行き、「施術するところを見せてくれ!」とズカズカ入っていったり、ときには白衣を持って、手伝ってるフリもしてました(笑)

当時の私は学生であることを武器として存分に発揮してました(笑)

今の時代、そこまで厚がましいことはせずとも、こちらの柔整ドットコムさんで他先生のコラムを読んだり、動画を見ることができます。

これから柔道整復師を目指す学生の方や、新人の先生方は、こういったので勉強がたくさんできますね!

今回はこれぐらいにして、次回は施術のお話なんかもできればと思います。


執筆者情報

長田整骨院 院長
一般社団法人 阿武隈クラブ 代表理事
長田 卓也 先生

【経歴】
39歳 宮城県岩沼市出身 2021年に飯舘村に移住する。
現在は柔道整復師で整骨院を経営。
介護施設で機能訓練士、東京赤坂でステーキ屋の副料理長、営業、大手での企業、バレーボールの中学生女子の監督、ビーチバレーで国体 等々  
趣味は麻雀、バイク、車、スノボ、バレー、ギター 等

公式ホームページ
一般社団法人阿武隈クラブ
長田整骨院

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