柔道整復師による施術範囲はどのぐらい?

どんな医療系国家資格でも、「できる仕事」「できない仕事」があります。

これは【業務独占】といって、それぞれの資格が他の資格の仕事に立ち入らないよう制限しているためです。

そうしなければ、国家資格を取得する意味がなくなってしまいます。

もちろん柔道整復師にも業務独占があり、しっかりと施術範囲が定められています。

今回はその柔道整復師の ” できる施術 ” と ” できない施術 ” を徹底解説していきます。

柔道整復師の施術範囲(できる施術)について

柔道整復師ができる施術範囲は、ケガ(骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷)に対する施術のみです。

意外と少ないと思う方もいるかもしれませんが、健康保険を使って施術する場合このような範囲となります。

では、それぞれのケガについて解説していきます。

骨折

骨折とは、いわゆる骨が折れた状態です。「ヒビが入った」状態も医療用語では「不全骨折」といわれ骨折の種類に含まれます。

骨折した場合、骨が正常な範囲より曲がってしまうことがあります。

このような時は、「整復」という骨を真っ直ぐに戻す施術を行い、固定して骨が綺麗に治るまで管理します。

脱臼

脱臼は関節が外れた状態で、肩やアゴが多いです。外れた関節は、てこの原理を用いて整復を行います。

関節が元通りになったら、固定して周りの組織を修復させます。

捻挫

足首で多くみられる、捻った・くじいた状態です。

この場合は痛めている部分が動かないように固定を行います。

打撲

誰もが一度は経験したことのあるケガで、いわゆる打ち身です。

何かに強くぶつかったりボールに当たったりした時に内出血するケガです。

このような場合はアイシングし、必要であれば固定をして安静を図ります。

挫傷

挫傷はあまり聞き慣れない言葉ですが、いわゆる肉離れです。

走っていたり強く踏ん張ったりした時、筋肉が必要以上に収縮すると痛めてしまいます。

痛めた筋肉は、動かないように固定(テーピング)をします。

柔道整復師の施術範囲外(できない施術)とは?

前述の通り、柔道整復師の施術範囲はケガに限られています。

そして後述する施術は、どれも他の医療系国家資格により業務独占されています。

よって、できない施術は多いので、どんな施術ができないか紹介していきます。

医師の同意がない骨折・脱臼

骨折と脱臼は、応急処置として整復・固定は可能ですが、継続して施術をする場合は医師の同意が必要です。

医師の同意が無ければ、健康保険を使用できません。

出血がみられるケガ

上記で紹介したケガでも、出血している場合は施術範囲外となります。

出血があると感染の危険性があるため、柔道整復師ができる施術範囲を越えています。

この場合は最低限の処置を行い、専門医に託します。

レントゲン・CT

レントゲンやCTは放射線被曝があるため、柔道整復師の施術範囲外です。

放射線技師でも単独では撮影できず、医師の指示により撮影可能となります。

注射

施術を目的に注射できるのは、医師・歯科医師のみです。

採血を目的とした注射は看護師でも可能となります。また、医師の指示があれば、看護師でも施術目的の注射ができます。

薬の処方

薬を処方できるのは、医師・歯科医師・医師の指示がある薬剤師です。

柔道整復師は直接処方しなくても、患者様に薬を飲んで下さいと指示をするのも処罰対象となりますので、注意が必要です。

手術

もちろん手術も施術範囲外です。注射ができないと麻酔ができませんので、柔道整復師にはできません。

肩コリや腰痛は施術範囲外?

柔道整復師が勤務している整骨院・接骨院では、肩コリや腰痛も施術していることもありますよね。

なぜ施術しているのか、解説していきます。

施術はできるが健康保険は使えない

結論から申し上げますと、柔道整復師は肩コリや腰痛も施術できます。しかしながら、健康保険を用いる場合は「ケガ」でないといけません。

単なる疲れの肩コリや腰痛は、健康保険は使えませんので自費による施術を行います。

健康保険が使える腰痛もある

ケガによる肩の張りや腰痛は、健康保険を使用して施術が可能です。

何か荷物を持ち上げた時に痛めたり、転倒した時に痛めたりした場合は健康保険の適用となります。

また、寝違えのようなケガも急性に痛めたものですので、健康保険が使用できます。

まとめ

柔道整復師の施術範囲は、思っているより狭いと感じやすいですが、それはあくまでも健康保険を使用できる範囲です。

健康保険を使用せず、自費で施術を行う場合は施術範囲を拡大できます。

しかし、患者様が第一ですので、医師が行っている処置を行うのは絶対にやめましょう。処罰の対象になりますし、患者様を危険に及ぼしてしまいます。

柔道整復師の魅力は、しっかり施術を行うと患者様から感謝されることです。

医師や歯科医師、薬剤師、看護師など色んな医療系国家資格の中でも、トップクラスで患者様との距離感が近いです。

ここまで親密に患者様と接する資格は少ないですし、その分感謝もされやすいため、やりがいのある仕事です!


執筆者情報

柔道整復師・鍼灸師
田口 康平 先生

【経歴】
大阪市東淀川区のヒグチ整骨院・鍼灸院にて10年以上勤務
個人事業としてSet Bone Officeを開設

公式ホームページ:
ヒグチ整骨院 http://www.higuchi-seikotsuin.jp/
Set Bone Office https://setboneoffice.wixsite.com/bone

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